グル(師匠)からシシヤ(弟子)へ口伝により伝承されるインドの芸術音楽においても、楽譜は限定的に使用される。また教則本もいくつか存在する。

本稿では、弦楽器スィタールのための教則本『スイタール・ダルパン』(1914年)とそのほかの文献を分析することで20世紀初頭のスィタール音楽の実際を考察する。

結論:1.1910年代、スィタールの標準的フレット数は16であった(現在は20から21)。2.ガットの演奏形式では、現在のような緩急楽章の組曲形式ではなく、各々を単独に演奏することが一般的だったと推測できる。