「インド音楽の諸相」(前項)で示した各ジャンルの中から、芸術音楽体系中の北インドの声楽・器楽を記述する。

北インド声楽で現在盛んに演奏されるのはカヤールと言われる様式である。共通のラーガ(旋法)に基づいた緩急2つの楽章から成る。歌詞はヒンドゥー教的内容や恋愛に関するものだが、演奏では歌詞は重要視せず、声を器楽的に使用して即興演奏を繰り広げる。

器楽ではガットと呼ばれる様式が盛んで、自由リズムのアーラープ、緩急のガット、ジャーラー(終止部)から成る。